姿勢改善には総合的かつ包括的な視点が大切

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

姿勢改善の為の運動指導において「○○は▽▽が原因だから××すれば良い」と単純化して思考停止するのは視野を狭めます。

人間の身体は骨格、筋肉、神経系、筋膜が複雑に絡み合い、個体差も大きいものです。

特にスクワットやデッドリフトのようなコンパウンド種目では脊柱の生理的湾曲に過剰にこだわらず、全身の柔軟性とつながりを活かしたダイナミックな動きで行う事が重要です。

さらに筋力トレーニングの基本である「対象筋の最大伸展から最大収縮」を意識する事で効果的で機能的なトレーニングが実現します。

全身の連動性と筋力トレーニングの基本を統合した包括的なアプローチが姿勢改善には大切なのです。

単一原因へのこだわりの落とし穴

姿勢の問題を「巻き肩は胸筋の短縮が原因」「反り腰は腸腰筋の過緊張が原因」と単純化するのは初心者向けには分かりやすいですが、限界があります。

姿勢の歪みは骨格の構造、筋肉のバランス、神経系の制御、生活習慣、心理的要因などが絡み合って生じます(Falla et al., 2004)。

たとえば猫背は胸筋だけでなく、肩甲骨周りの筋力不足、神経系の促通不良、骨盤の傾きなどが関与する可能性があります。

単一の原因のみに絞ると個体差や複雑な背景を見逃し、効果が限定的になるリスクがあります。

アナトミートレイン:全身のつながりを考える

姿勢や運動を考える際、筋膜のつながりを示す「アナトミートレイン(Anatomy Trains)」の視点が役立ちます(Myers, 2020)。

筋膜は全身をネットワークでつなぎ、力の伝達や姿勢の維持に影響します。

たとえばスーパーフィシャル・バック・ライン(ふくらはぎから背中、頭部まで)は反り腰や猫背に、フロント・ライン(胸筋や腹直筋)は巻き肩や骨盤の前傾に関与します。

こうした筋膜のラインを意識すると局所的な筋肉だけでなく、全身のバランスを整える必要性が理解できるはずです。

たとえば巻き肩を改善するには胸筋のストレッチに加え、背面の筋膜リリースや肩甲骨の可動性向上が必要で、このような包括的アプローチは単一の筋肉にフォーカスするよりも持続的な効果をもたらします(Stecco et al., 2013)。

筋力トレーニングの基本:対象筋の最大伸展から最大収縮

筋力トレーニングの効果を最大化するには、「対象筋の最大伸展から最大収縮」を意識することが基本です(Schoenfeld, 2016)。

これは筋肉を最大限に伸ばした状態から完全に収縮させる事で筋繊維をフルに刺激し、筋力や柔軟性の向上を促すアプローチです。

  • デッドリフト:ハムストリングや臀筋を最大伸展(バーを下ろした位置)から収縮(トップでのヒップスラスト)まで動かすことで、筋膜のつながりを活かしつつ、筋力を効率的に強化。
  • スクワット:膝と股関節を深く曲げて大腿四頭筋や臀筋を最大伸展させ、立ち上がる際に最大限に収縮させる。
  • チェストプレス:胸筋を最大伸展(バーを下げた位置)から収縮(押し上げる位置)まで動かし、筋肥大と可動域の向上を両立。

この原則は筋肉の機能的発達だけでなく、姿勢改善にも直結します。

たとえば巻き肩の改善には胸筋を最大伸展させるストレッチと背筋を最大収縮させるプル系種目を組み合わせる事で筋膜ラインのバランスが整います。

コンパウンド種目:ダイナミックな動きと筋トレの基本を融合

コンパウンド種目は複数の筋群と関節を動員し、全身の協調性を高めます。

しかし指導者の中には脊柱の生理的湾曲を過剰に守ろうとしてフォームを小さくまとめるケースがあります。

これは身体の自然な動きや筋膜のつながりを制限し、力の伝達やトレーニング効果を損なう可能性があります(Schoenfeld, 2010)。

コンパウンド(多関節)種目では、対象筋の最大伸展から最大収縮を意識しつつ、脊柱の柔軟性を活かしたダイナミックなフォームが効果的です。

たとえばデッドリフトでは、腰椎の軽い屈曲や伸展が力の伝達を助け、臀筋やハムストリングの最大伸展から収縮を促します(Escamilla et al., 2000)。

ただし過度な屈曲は怪我リスクを高める為に腹圧を高めてコアを安定させ、コントロールされた範囲で動くことが重要です。

このバランスが、ダイナミックなフォームと安全性を両立させます。

神経系の促通:動きを再教育する

姿勢改善やトレーニングでは神経系の促通も欠かせません。

筋肉が正しく働くには脳や神経系が適切な信号を送る必要があります(Aagaard, 2003)。

不良姿勢が習慣化している場合、筋肉だけでなく神経系の「再教育」が必要です。

たとえばPNF(固有受容性神経筋促通法)や動的ストレッチは神経系の活性化を通じて筋肉の協調性を高め、最大伸展から収縮へのスムーズな動きをサポートします。

ヨガやピラティスのような全身の協調性を重視するエクササイズも、筋膜のラインを意識しながら神経系の促通を促し、姿勢や動作パターンの改善に効果的です。

包括的アプローチの提案

姿勢改善とトレーニングを効果的に進めるには、以下のような包括的アプローチが有効です

  1. 全身の評価:骨格、筋肉、筋膜、神経系、生活習慣をトータルでチェック。 アナトミートレインの視点でどのラインが影響しているかを分析。
  2. 個別最適化:個人の身体の特徴や生活習慣に応じたプログラムを設計。デスクワーカーなら座位での筋膜リリース、アスリートなら動的安定性を重視。
  3. 統合的トレーニング:対象筋の最大伸展から最大収縮を意識したコンパウンド種目(スクワット、プランクなど)で、筋力、柔軟性、協調性を同時に鍛える。
  4. 習慣化と意識:日常の動作や姿勢を意識し、呼吸法やマインドフルネスで神経系の調整をサポート。

まとめ:木を見て森も見るトレーニングを

姿勢改善やトレーニングは単一の原因に絞るのではなく、全身のつながりを意識することが重要です。

アナトミートレインの視点で筋膜のバランスを整え、筋力トレーニングの基本である「対象筋の最大伸展から最大収縮」を取り入れる事で効果的かつ機能的な動きが実現します。

コンパウンド種目では脊柱の柔軟性を活かしたダイナミックなフォームを追求しつつ、コアの安定性で怪我を予防しましょう。

身体のポテンシャルを引き出し楽しみながら姿勢を整えていきましょう!

何事も総合的かつ包括的な視点が大切だと言う話です。

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