持久系競技の能力向上にも筋トレは必須

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

マラソンを趣味で行っているのですが、筋力トレーニングは必要ですか?と言う質問を頂きました。

結論から申し上げると「必須」です。

マラソンなどの持久系競技では「最大酸素摂取量(VO₂max)」と「運動後過剰酸素消費(EPOC、酸素借)」がパフォーマンスの鍵を握ります。

VO₂maxは体が酸素をどれだけ効率よく使って運動できるかを示し、酸素借は高強度運動後にその「不足」を補うために必要な追加の酸素量です。

この二つの関係を理解し、筋力トレーニングがどのように持久力を高めるのかをわかりやすく解説した文は以下の通りです。


VO₂maxと酸素借は持久力の基礎

VO₂maxは、最大努力時に体が取り込んで利用できる酸素量(mL/kg/min)で、全身持久力の指標と言えます。

例えばマラソン選手のVO₂maxは60〜80と高く、一般人の30〜45に比べて長時間の走りを支えます(Bassett & Howley, 2000)。

一方、酸素借(EPOC)は激しい運動で酸素供給が追いつかず、無酸素エネルギー(乳酸生成)に頼った結果生じる「借金」で、運動後に激しく息を乱しながら呼吸をするのは、乳酸処理やエネルギーシステムの回復のために酸素を補充、即ち「借金返済」をしている状態です(Margaria et al., 1933)。

この二つの関係はシンプルで、VO₂maxが高いほど運動中の酸素利用効率が良く、無酸素エネルギーへの依存が減る為に酸素借が小さくなる傾向があります(Costill et al., 1971)。

例えばVO₂maxが高いマラソン選手は同じペースで走っても乳酸が溜まりにくく運動後の回復も早い事から、これが持久力の強さにつながります。


筋力トレーニングがVO₂maxと酸素借にどう影響するか

持久系競技のトレーニングと言えばランニングやサイクリング、水泳などが思い浮かびますが、筋力トレーニングもVO₂max向上や酸素借の管理に重要な役割を果たします。

以下に具体的な効果を紹介します。

1. ランニングエコノミーの向上

筋力トレーニングで下半身や体幹を強化すると、走る際のエネルギー効率(ランニングエコノミー)が上がります。

同じ酸素量でより速く・長く走れる為にVO₂maxを最大限に活かせます。

スクワットやランジはフォームを安定させ、無駄な動きを減らす効果も期待できます。

Paavolainen et al. (1999)の研究では、筋力トレーニングを取り入れたランナーはランニングエコノミーが5〜8%改善し、5kmタイムが向上しました。

2. 酸素利用効率の強化

筋力トレーニングは筋肉内のミトコンドリア(酸素でエネルギーを作る工場)の機能や数を増加させ、これにより筋肉が酸素を効率よく使い、VO₂maxが向上します。

Short et al. (2005)の研究では筋力トレーニングがミトコンドリア機能を高め、VO₂maxに寄与することが示されています。

結果、酸素借の発生が抑えられて回復も早まります。

3. 高強度とレーニングで心肺機能も強化

高強度サーキットトレーニング(例:バーピー、ケトルベルスイング)やタバタ式(20秒全力+10秒休息)は無酸素運動ながら心肺に負荷をかけ、VO₂maxを向上させます。

Tabata et al. (1996)の研究では、タバタ式トレーニングがVO₂maxを有意に高めたと報告されています。

これによりマラソンの高強度局面(上り坂やスパート)での酸素借が減り、持久力が安定します。


マラソン選手が筋力トレーニングを行うのその他のメリット

VO₂maxと酸素借の管理以外にも、筋力トレーニングはマラソン選手に以下の効果をもたらします。

①怪我予防と筋量維持

マラソンの長時間走行は筋肉や関節に負担をかけ、筋量低下や怪我のリスクを高めます。

スクワットやデッドリフト、ラットプルダウン、」カーフレイズ等で体幹や下半身を鍛えるとフォームが安定し、膝や足首の怪我を防ぎます。

Støren et al. (2008)の研究では筋力トレーニングが筋持久力を高め、怪我リスクを低減することが確認されています。

②後半のペース維持

マラソン後半で疲労によるフォーム崩れはペースダウンの大きな要因の一つです。

筋力トレーニングで筋持久力を強化すると、42.195kmの終盤でも安定した走りを維持可能。

Saunders et al. (2006)は、プライオメトリックトレーニング(ジャンプなど)が後半の疲労耐性を高めると報告しています。

③推進力とスピードの向上

下半身の爆発力を鍛えるプライオメトリックやスプリントトレーニングはストライド(1歩の長さ)や蹴り出しを強化し、レース終盤のスパートや競り合いで有利になります。

Rønnestad & Mujika (2014)の研究では、筋力トレーニングがスプリント能力を高める事でレース終盤のパフォーマンスを向上させることが示されています。

④ 代謝効率の最適化

筋力トレーニングは脂肪や炭水化物のエネルギー利用効率を高め、グリコーゲンの節約を助けます。

これにより「30kmの壁」を回避しやすくなり、長時間走行が安定します。

Hickson et al. (1988)の研究では、筋力トレーニングが代謝効率を改善し、持久力向上に寄与することが確認されています。


実践のポイント

マラソン選手にとって効果的な筋トレは、以下のポイントを意識すると良いでしょう:

  • 下半身・体幹を優先: スクワット、ランジ、アブドミナルツイストで走りに必要な筋肉を強化。
  • 高強度・短時間: サーキット形式やタバタ式で心肺機能も刺激。
  • 週1〜2回: ランニング(週4〜5回)と組み合わせ、休息を確保。
  • レース前の調整: シーズンオフに筋トレを強化し、レース前は軽いメンテナンスに。

イメージで理解:車に例えると

VO₂maxは「エンジンの大きさ」、酸素借は「ガソリンの借金能力」です。

筋力トレーニングはエンジンを効率よく動かす「部品の強化」。強いタイヤ(下半身)や安定したハンドル(体幹)で、燃費(ランニングエコノミー)が良くなり、借金(酸素借)を減らし、ゴールまでスムーズに走る事が出来ます。


結論:筋力トレーニングでマラソンをもっと強く

マラソン選手にとって筋力トレーニングはVO₂maxを高め、酸素借を減らすことで持久力を向上させる重要な手段です。

さらに怪我の予防、後半のペース維持、推進力強化、代謝効率向上といったメリットも多数。

週1〜2回の筋トレをランニングとバランスよく組み合わせれば、自己ベスト更新や安定したレース展開が期待できます。

持久力を最大化する為には筋力トレーニングも不可欠だと言う話です。

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