「追い込む」か「追い込まない」か

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

SNSなどでは筋力トレーニングを行う際、「追い込む」か「追い込まないか」の議論をよく目にします。

筋力トレーニングは筋力の向上、筋肥大、健康維持、競技能力向上など個々の目的によって最適なアプローチが異なります。

しかしどんな目標であっても、「過負荷の原理」と「漸進性の原則」を理解していれば、筋力トレーニングにおいて「追い込む」か「追い込まないか」は戦略の選択に過ぎず、どちらが良いか悪いかを一概に決めることはできません。

以下の文では両者の戦略を科学的なエビデンスとともに整理し、目的に応じた柔軟なトレーニングの考え方を提案します。

過負荷の原理と漸進性の原則:トレーニングの基盤

筋力トレーニングの効果を最大化するには、まず「過負荷の原理」を理解することが不可欠です。

この原理は筋肉に通常以上の負荷をかけることで成長を促すというものです。

例えば、ベンチプレスで普段より重い重量を持ち上げる、回数を増やす、セット数を増やすなどがこれに当たります。

次に「漸進性の原則」は負荷や回数を少しずつ増加させることで筋肉や神経系が適応し、怪我のリスクを抑えながら成長を促す考え方です。

これらの原理原則は筋力トレーニングのあらゆる戦略の基盤であり、目的に応じて柔軟に適用できます(Schoenfeld et al., 2017; Rhea et al., 2003)。

追い込む戦略:高ボリュームで筋肥大を

「追い込む」とは、一般に低~中負荷(1RMの50~70%)で高回数(10~15回以上)、多セット(4~5セット)を行い、筋肉を疲労困憊させるアプローチを指します。

この戦略は筋肥大を重視する人に特に効果的です。

研究によれば、筋肥大には「総負荷量」(重量×回数×セット数)と代謝的ストレスが重要であり、中負荷での高ボリュームトレーニングがこれを効率的に達成します(Schoenfeld et al., 2017)。

例えばダンベルカールで15kgを12~15回程度を丁寧な動作で複数セット行うと上腕二頭筋に強いパンプ感が生まれ、筋肥大が促進されます。

しかしこの方法は時間がかかり、精神的な疲労や回復の遅れが課題となる場合があります。

特に栄養や睡眠が不足していると、オーバートレーニングのリスクが高まります。

追い込まない戦略:高重量で筋力を

一方で「追い込まない」戦略は高重量(1RMの80~90%)で低回数(3~6回)、少数セット(2~4セット)を行い、限界まで行かずに余裕を残すアプローチです。

これは筋力向上を主目的とする場合に適し、研究では高重量・低回数のトレーニングが神経系の適応を促し、筋力を効率的に高めることが示されています(Rhea et al., 2003)。

例えばスクワットで1RMの85%を5回×3セット行うと筋力が増加し、フォームも安定します。

この方法は短時間で終わる為に忙しい人や怪我リスクを抑えたい人に適していますが、筋肥大への刺激は限定的です。

高負荷かつ高ボリュームは机上の空論?

トレーニングの議論でよく耳にする「高負荷かつ高ボリューム」というコンセプトは筋力と筋肥大の両方を最大化する理想的な方法として語られることがありますが、現実的にはこの両立は非常に困難です。

高負荷(1RMの80%以上)で高ボリューム(10セット以上や高回数)をこなすには神経系や筋肉の疲労が急速に蓄積し、通常の生活では回復が追いつきません。

さらにセット間の休息時間(3~5分)が長くなる為にトレーニング時間も膨大になります。

プロのアスリートや特別な環境(例:薬物補助、長時間のジム利用)がなければ、これは「机上の空論」に近いと言えるでしょう。

したがって効率を考えるなら、高負荷(筋力重視)か高ボリューム(筋肥大重視)のいずれかに焦点を当て、目的に応じて使い分けるのが現実的です。

コンパウンドとアイソレートの役割分担

トレーニングの戦略を考える上で、コンパウンド種目(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト)とアイソレート種目(アームカール、レッグエクステンション)の役割を理解する事が重要です。

コンパウンド種目は複数の筋群を使い、高重量で筋力向上に適しています。

例えばベンチプレスで100kgを5回挙げることは、胸、肩、三頭筋の筋力の明確な指標となり、重量を競うモチベーションにもつながります。

一方でアイソレート種目は特定筋群の筋肥大や仕上げに特化し、低重量・高回数で筋肉の収縮感(マインドマッスルコネクション)を重視するほうが効果的だと言えます。

戦略の選択:目的に応じた柔軟性が鍵

筋力トレーニングにおいて、追い込む(高ボリューム)か追い込まない(高重量・低回数)かは目的に応じた戦略の選択に過ぎません。

筋肥大を目指すなら低~中負荷で高ボリューム、筋肉のパンプや代謝的ストレスを重視します。

筋力を優先するなら高重量で低回数、神経系の強化を狙いますが、どちらも「過負荷の原理」と「漸進性の原則」に基づいて負荷を増やしていけば、効果を発揮します。

例えばベンチプレスで80kg×5回×4セットから82.5kgに増やす(筋力)、ラットプルダウンで60kg×12回×3セットから4セットに増やす(筋肥大)など、目的に合わせて漸進性を適用します。

結論:自分に合った戦略を見つけよう

筋力トレーニングの成功は、「過負荷の原理」と「漸進性の原則」を理解し、目的やライフスタイルに合わせて戦略を選ぶことにかかっています。

追い込む高ボリュームのアプローチも追い込まない高重量のアプローチも、それぞれにメリットとデメリットがあり、良いとも悪いとも言えません。

コンパウンド種目で筋力を、アイソレート種目で筋肥大を効率的に狙うなど、柔軟なプログラム設計が重要です。

最終的には自身の目標(筋力か筋肥大か)、回復力、トレーニング経験、利用可能な時間を考慮し、自分に最適な方法を見つけ出す事が持続可能な成長への鍵となるのです。

何にせよ筋力トレーニングに大切なのは「疲労感理」だと言う話です。

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