ショルダーパッキングを理解する

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

筋力トレーニングを行う際、スクワットやベンチプレスで「ショルダーパッキング」というテクニックを耳にしたことはあるでしょうか?

これは肩甲骨を下に引き、背骨方向に寄せる動作で骨盤、脊柱、肩甲骨の連動を整え、力を効率的に発揮しながら怪我を防ぐために欠かせない技術です。

特に競技能力の向上を目指すアスリートにとってショルダーパッキングはパフォーマンスを高め、安全にトレーニングを続けるための重要なテクニックとなります。

初心者にもわかりやすく科学的なエビデンスに基づきながら、ショルダーパッキングの重要性を「骨盤・脊柱・肩甲骨の連動」と「怪我の予防」という視点から説明し、さらに腹圧との関係や競技能力向上におけるその価値についても論じる分は以下の通りです。


骨盤・脊柱・肩甲骨の連動:全身の力を引き出す仕組み

筋力トレーニングやスポーツの動作では、身体の各部位が協力し合って力を発揮し、この「運動連鎖(キネティックチェーン)」の中心となるのが、骨盤、脊柱、肩甲骨の連動です。

ショルダーパッキングはこの連動を整えるための重要なテクニックです。

それぞれの役割をイメージしやすいように見ていきましょう。

骨盤:力の土台

骨盤は身体の土台のような存在で、スクワットでバーを背中に担ぐときやベンチプレスでバーを押し上げる際、骨盤が安定していることで力が効率的に伝わります。

たとえば骨盤が前や後ろに傾きすぎると力が逃げてしまい、思うように重い重量を扱えません。

研究でも骨盤を「ニュートラルポジション(自然な位置)」に保つことで、筋力の発揮が最大になり、身体への負担も減ることがわかっています(Schoenfeld, 2010)。

イメージとしては骨盤を「家の基礎」に例えるとわかりやすいです。

基礎がぐらつくと家全体が不安定になる事から、骨盤が安定する事で上の脊柱や肩甲骨も正しい位置で動けるようになります。

脊柱:力を伝える橋

脊柱(背骨)は骨盤と肩甲骨をつなぐ「橋」のような役割を果たし、脊柱が自然なカーブ(ニュートラルスパイン)を保つ事で下半身から上半身への力がスムーズに伝わります。

たとえばスクワットで重いバーを担ぐ際、背骨が丸まったり反りすぎたりすると力が分散してしまい、腰に負担がかかります。

研究では脊柱をニュートラルに保つ事で腰椎へのストレスが減り、怪我のリスクが低下することが示されています(McGill, 2007)。

背骨を「電信柱」に例えると、電線(力)がまっすぐに張られている状態が理想です。

ショルダーパッキングはこの電信柱をしっかり支える役割を果たします。

肩甲骨:力のプラットフォーム(基盤)

肩甲骨は上半身の力を発揮するための「プラットフォーム」です。

ショルダーパッキングでは肩甲骨を下に引き(下制)、背骨方向に寄せる(内転)事で肩関節を安定させます。

これによりベンチプレスではバーを強く押し上げられ、スクワットではバーを安定して支えられます。

研究によると、肩甲骨を適切に固定する事で大胸筋や三角筋の働きが良くなり、肩への負担も軽減されます(Escamilla et al., 2009)。

肩甲骨を「テーブルの天板」に例えると、ぐらつかない天板の上なら重い物をしっかり支えられます。

ショルダーパッキングはこの天板をしっかり固定する技術です。

連動の魔法

骨盤、脊柱、肩甲骨が連動する事で身体全体が一つのチームのようになり、力を最大限に発揮できます。

たとえば野球のピッチングでは、骨盤の回転から脊柱、肩甲骨、肩へと力が連携、連動しながら働き、ボールを高速で投げられます。

この連動が崩れると力が逃げたり、身体に負担がかかったりします。

ショルダーパッキングはこの連動を整える「鍵」であり、競技能力を高めるために欠かせません。


怪我を防ぐ:安全なトレーニングの基盤

筋力トレーニング、特に競技能力向上を目指す場合に怪我の予防は非常に重要です。

ショルダーパッキングは肩関節や脊柱、骨盤を守るために大きな役割を果たします。

肩関節の保護

ベンチプレスやスクワットで重い重量を扱う際、肩甲骨が不安定だと肩関節に過剰なストレスがかかります。

これが続くと肩のインピンジメント症候群や腱板(肩の筋肉)の損傷を引き起こす可能性があります(Fees et al., 1998)。

ショルダーパッキングを行うと肩甲骨が胸郭にしっかり固定され、肩関節のスペースが確保されます。

これにより肩の筋肉や腱への負担が減り、怪我のリスクが低下します。

たとえばベンチプレスで肩甲骨を寄せずにバーを上げると肩が前に出てしまい腱板に負担がかかりますが、肩甲骨をしっかりパッキングする事で大胸筋が主に働き、肩が守られます(Lehman et al., 2004)。

イメージとしては肩甲骨を「盾」にして肩関節を守るような感覚です。

脊柱と骨盤の保護骨盤や脊柱が不安定だと腰椎に過剰な力がかかり、椎間板ヘルニアや腰痛のリスクが高まります。

ショルダーパッキングは肩甲骨を安定させる事で上半身の力を骨盤に効率的に伝え、脊柱への負担を軽減します。

研究では脊柱をニュートラルに保つ事で腰へのストレスが減り、怪我が予防できることがわかっています(McGill, 2007)。

スクワットを例にすると、肩甲骨をパッキングしてバーを安定させる事で骨盤と脊柱が正しい位置に保たれ、腰への負担が減ります。

これは身体を「頑丈な柱」にして、重い荷物を安全に支えるイメージです。


腹圧との関係:コアの力を引き出す

ショルダーパッキングは、胸郭(肋骨と胸椎)を安定させる事で腹圧(お腹の中の圧力)を高める効果もあります。

腹圧は腹筋や横隔膜、骨盤底筋が協力して作り出し、脊柱を安定させて力を発揮する基盤となります。

胸郭が安定すると横隔膜がスムーズに動き、腹圧を効率的に高められます。

たとえばスクワットでバーを担ぐ際、肩甲骨をパッキングしてお腹を「風船のよう」に膨らませる事で身体が強固な柱のようになり、重い重量を安全に扱えます。

研究でも横隔膜と腹筋の協調が腹圧を高め、脊柱の安定性を向上させることが示されています(Hodges et al., 2005)。

腹圧を高めるコツは深く息を吸って横隔膜を下げ、腹筋を締める「バルサルバ法」を組み合わせることです。

CXショルダーパッキングと一緒に実践すると、身体全体の安定感がぐっと高まります。


競技能力向上におけるショルダーパッキングの価値

ボディメイキング(見た目を整えるトレーニング)とは異なり競技能力向上を目指す筋力トレーニングでは、動作の効率性や力が競技にどう活かされるかが重要です。

ショルダーパッキングを含む骨盤・脊柱・肩甲骨の連動は、以下の理由で競技パフォーマンスに大きな影響を与えます。

力の伝達を最大化

競技では下半身や体幹の力を上半身に伝え、爆発的な動作(例:ジャンプ、投擲、打撃)を行うことが求められます。

ショルダーパッキングにより肩甲骨が安定すると力が漏れずに効率的に伝わります。

たとえばラグビーのタックルでは、骨盤から肩甲骨への力の流れが相手を強く押し込む力を生み出します。

動作の再現性

競技では同じ動作を正確に繰り返すことが重要です。

ショルダーパッキングを意識するとフォームが安定し、毎回一貫した動作が可能です。

たとえばスプリンターがスタートダッシュで肩甲骨を安定させる事で上半身と下半身の連動がスムーズになり、加速が安定します。

怪我予防で持続的な成長

怪我はアスリートの最大の敵です。

ショルダーパッキングは肩や腰への負担を減らし、長期的なトレーニング継続を可能にします。

これにより競技能力を着実に向上させられます。


初心者向けの実践ポイント

ショルダーパッキングを初めて取り入れる方でも、以下のポイントを意識すればすぐに上達できるかもしれません。

  • スクワットでのやり方:バーを担ぐ前に、肩甲骨を下に引き、背中で「バーを挟む」イメージで寄せます。胸を軽く張り、お腹を膨らませて腹圧を高めましょう。
  • ベンチプレスでのやり方:ベンチに寝たら、肩甲骨を下に引き、背骨方向に寄せます。「肩甲骨でベンチを掴む」感覚で、肩が浮かないように注意。
  • 練習のコツ:軽い重量でフォームを練習し、鏡やコーチのフィードバックを活用。肩甲骨を動かす感覚を日常生活(例:背中でペンを挟むイメージ)で試すのも効果的です。
  • 競技への応用:トレーニング中に競技の動作をイメージ(例:ベンチプレスで投擲を意識)すると、連動が競技に活きやすくなります。

まとめ

ショルダーパッキングは骨盤、脊柱、肩甲骨の連動を整え、力を効率的に発揮しながら怪我を防ぐトレーニングに於いて重要なテクニックです。

競技能力向上を目指すアスリートにとってこの連動はパフォーマンスを高め、怪我を減らし、トレーニングを長く続けるための基盤となります。

科学的な研究でも肩甲骨の安定や腹圧の強化が、力の発揮と安全性を高めることを支持しています(Escamilla et al., 2009; McGill, 2007)。

初心者の方でも軽い重量から練習を始め、肩甲骨の動きを意識すればすぐに上達できる事でしょう。

ショルダーパッキングを習慣化することでトレーニングの質が上がり、競技場での輝く瞬間が近づきます。

何事も理屈を理解する事が大切だと言う話です。

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