ストレッチは魔法のトレーニングでは無い

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
ストレッチは柔軟性の向上やリラクゼーションに役立ちますが、万能の運動と考えるのは誤解です。
ストレッチの効果は目的やタイミングに大きく左右され、誤った使い方はパフォーマンスの低下や怪我のリスクを招きます。
ストレッチと関節可動域に関する科学的知見は以下の通りです。
1. ウォーミングアップとしてのスタティックストレッチは推奨されない
ウォーミングアップでのスタティックストレッチ(静的ストレッチ)は特定の競技(例:バレエや体操)やリラクゼーション目的以外ではおすすめできません。
長時間のスタティックストレッチ(30秒以上)は筋や腱のスティフネス(硬さ)を一時的に下げ、最大筋力やパワー出力を5~10%減少させます(Simic et al., 2013, J Strength Cond Res)。
特にスプリントやジャンプ、ウエイトリフティングのような爆発的な動作ではパフォーマンスが損なわれ、怪我のリスクが高まる可能性があります。
また100メートルスプリンターのような競技では、足関節の高いスティフネスが推進力を生むために不可欠です。
過剰な柔軟性はエネルギー伝達の効率を下げます(Arampatzis et al., 2007, J Biomech)。
そのためウォーミングアップには動的ストレッチ(例:レッグスイング、アームサークル)や軽い有酸素運動(例:ジョギング、サイクリング)が適しています。
これらは筋温を上げる事で関節の機能的可動域を広げ、神経筋の反応性を高めます(Fradkin et al., 2010, J Sports Sci)。
スタティックストレッチは運動後のクールダウンで筋の緊張をほぐすのに適していますが、過度に行うのは避けましょう。
2. 関節可動域は大きければ良いわけではない
「関節は柔らかければ柔らかいほど良い」という考えは正しくありません。
過剰な関節可動域(ハイパーモビリティ)は怪我のリスクを高めます。
例えば肩関節では柔軟すぎると腱板断裂や関節唇損傷のリスクが上がり、股関節では関節唇損傷やインピンジメント症候群、足関節では慢性不安定症や捻挫の再発リスクが増大します(Smith et al., 2015, Br J Sports Med; Chahal et al., 2016, J Shoulder Elbow Surg)。
特に180度開脚のような極端な柔軟性はバレエや体操では必要ですが、日常生活や一般的なフィットネスではメリットが少なく、逆に関節の安定性を損ないます。
またトップクラスの100メートルスプリンターで足首が「ぐにゃぐにゃ」に柔らかい選手は存在しません。
スプリントではアキレス腱と足底筋の高いスティフネスが接地時のエネルギーを効率的に推進力に変換します(Stefanyshyn & Nigg, 1998, J Appl Biomech)。
柔らかすぎる足首は力のロスや不安定性を招き、競技パフォーマンスを下げる為にトップレベルでは見られません。
適度な筋スティフネスは関節の動的安定性を保ち、急な動きや外力から守ります(Granata et al., 2002, J Biomech)。
ハイパーモビリティの方は筋力強化(例:ローテーターカフ、臀筋、足内在筋)やバランスエクササイズで安定性を高めることが大切です。
3. ダイエット目的では有酸素運動を推奨
ダイエット目的の場合、ウォーミングアップとクールダウンには軽い有酸素運動(例:時速5~6kmの早歩き、サイクリングでRPM80~100、10~15分)が最適です。
有酸素運動は筋温を上げる事で代謝を活性化し、脂肪酸の動員を促します。
これにより筋力トレーニングや高強度インターバルトレーニング(HIIT)の効率が上がり、カロリー消費が増大します(Donnelly et al., 2009, Med Sci Sports Exerc)。
クールダウンでも5~10分の軽い有酸素運動(例:時速3~4kmのウォーキング)は乳酸や代謝産物の除去を促し、筋肉痛の軽減や回復を助けます。
更に運動後過剰酸素消費(EPOC)により、カロリー消費が持続します(Menzies et al., 2010, Sports Med)。
一方スタティックストレッチはカロリー消費や代謝促進の効果が低く、ダイエットでは補助的な役割に留まります。
運動前は動的ストレッチ、運動後は短時間のスタティックストレッチ(10~15秒)が適切です。
4. 実践的なおすすめ
- ウォーミングアップ(10~15分):
- 軽い有酸素運動(例:ジョギング、サイクリング)で筋温と代謝を上げます。
- 動的ストレッチ(例:レッグスイング、ランジウォーク)を2~3分加えて、関節を準備します。
- クールダウン(5~10分):
- 軽い有酸素運動(例:時速3~4kmのウォーキング)で血流を維持し、代謝産物を除去します。
- 必要なら、主要筋群のスタティックストレッチ(10~15秒)を追加します。
- ハイパーモビリティの方:
- 筋力トレーニング(例:スクワット、カーフレイズ、プランク)やバランスエクササイズで関節の安定性を強化します。
- 180度開脚のような過剰な柔軟性追求や長時間のスタティックストレッチは避けましょう。
- スプリンター向け:
- 足関節のスティフネス強化(例:プライオメトリクス、足内在筋トレーニング)を優先します。
- ぐにゃぐにゃな足首はパフォーマンス低下や怪我リスクを招くため、動的ストレッチで機能的可動域を維持します。
5. まとめ
ストレッチは柔軟性維持やリラクゼーションに役立ちますが、万能の運動ではありません。
ウォーミングアップでのスタティックストレッチは筋力低下を招く為に競技特性以外では避けるべきです。
関節は柔らかければ良いわけではなく、過剰な可動域は怪我リスクを高めます。
特にトップスプリンターの足首は高いスティフネスが必要で、ぐにゃぐにゃな柔軟性は不利です。
ダイエット目的では軽い有酸素運動がウォーミングアップとクールダウンに最適で、カロリー消費や代謝促進に効果的です。
個々の身体特性や目的に合わせて筋スティフネスと機能的可動域をバランスよく保つトレーニングが、健康とパフォーマンスの鍵となります。
全ての運動は目的に応じてと言う話です。
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