体重管理の基本は「摂取カロリーと消費カロリーのバランス」

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
「糖質を制限すればカロリーなんて気にしなくていい」「糖質さえやめれば太らない」、こうした主張をXやYouTubeで発信する医師やインフルエンサーが後を絶ちません。
一見シンプルで魅力的なメッセージですが、科学的には「カロリーは関係ない」という考えは誤解を招きます。
なぜ医師ともあろうものがこうした主張をするのか?そしてなぜその声が広がり続けるのか?研究の部分的な解釈、代謝の複雑さの無視、SNSのエコーチェンバーというキーワードを軸に科学的エビデンスを交えて探ります。
研究の部分的な解釈が引き起こす誤解
低糖質ダイエットに一定の効果がある事は科学的に認められています。
たとえば2013年のメタアナリシス(British Journal of Nutrition)では、低糖質ダイエットが6か月以内の体重減少において、低脂肪ダイエットよりも効果的である場合があると報告されました(Bueno et al., 2013)。
この理由は糖質制限がインスリン分泌を抑える事で食欲を低下させ、脂肪燃焼を促進するためです。
また糖質を減らすと体内に貯蔵されるグリコーゲンと水分が減少し、短期間で体重が劇的に落ちることがあり、この即効性が「カロリーを気にしなくても痩せる」という印象を強めます。
しかし同じ研究や他の長期研究(例:Hall et al., 2016, The Lancet) では、12か月以上経過すると低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットの体重減少効果に有意な差がなくなることが示されています。
長期的な体重管理ではカロリー収支が決定的な要因です。
米国栄養学会(Academy of Nutrition and Dietetics)も、体重管理の基本は「摂取カロリーと消費カロリーのバランス」と強調します(AND, 2020)。
にもかかわらず一部の医師は短期的な研究結果だけを強調し、「カロリーは関係ない」と単純化してしまうのです。
この研究の部分的な解釈は、一般の人々に誤ったメッセージを伝え、ダイエットの本質を曇らせます。
代謝の複雑さを無視した単純化
人間の代謝は複雑で、単一の栄養素だけに焦点を当てるのは困難です。
糖質制限は血糖値の急上昇を抑え、脂肪燃焼を促進します。
しかし糖質を完全に排除しても、肝臓では糖新生(gluconeogenesis)により脂質やタンパク質からグルコースが生成され、血糖値が維持されます(Cahill, 2006, American Journal of Clinical Nutrition)。
また糖質を過剰摂取すると、余ったグルコースが脂質に変換されるde novo lipogenesisが起こります(Hellerstein, 1999, Annual Review of Nutrition)。
さらに栄養素のカロリー密度も無視できません。
脂質は1gあたり9kcal、糖質やタンパク質は4kcalですので、糖質を減らしても、脂質やタンパク質を過剰に摂取すればカロリー過多になり、脂肪として蓄積されます。
一部の医師はこの代謝の複雑さを軽視し、「糖質だけが問題」と主張します。
たとえば糖質制限なら脂質やタンパク質を無制限に食べても太らない、という発言が見られます。
しかし、2018年の研究(JAMA)では低糖質ダイエットでもカロリー過多が体重増加を招くことが確認されています(Gardner et al., 2018)。
こうした単純化は患者にとって分かりやすい一方、科学的正確さを欠き、誤った食習慣を助長するリスクがあります。
SNSのエコーチェンバーが主張を増幅
なぜこうした主張が後を絶たないのでしょうか?その大きな要因は、XやYouTubeなどのプラットフォームが作り出すエコーチェンバーです。
SNSでは似た価値観を持つ人々が集まり、同じ主張が繰り返し共有され、増幅されます。
2021年の研究(Nature Communications)によると、SNSのアルゴリズムは感情を刺激する極端なコンテンツを優先し、誤情報や偏った主張が拡散されやすい環境を作ります(Cinelli et al., 2021)。
たとえば、Xで「糖質ゼロで痩せた!」という投稿が拡散されると、それを支持する医師の発言がさらに注目を集め、新たな支持者を生み出します。
このエコーチェンバーは科学的異論を排除する傾向があります。
たとえばカロリー収支の重要性を指摘する投稿は、糖質制限を支持するコミュニティでは埋もれがちです。
さらにダイエット市場は巨大で、書籍やオンラインコースなどのビジネスチャンスが豊富です。
米国ではダイエット産業の市場規模は2023年時点で約750億ドルと推定され(IBISWorld, 2023)、こうした経済的動機も、極端な主張を繰り返す医師が現れる背景です。
なぜ医師がこうした主張に走るのか?
医師がこうした主張をする理由は他にもあります。
まず患者のニーズへの迎合です。
多くの人はカロリー計算や栄養バランスの管理を避けたいと考えます。
「糖質をやめるだけ」というルールは実行しやすく、即効性を感じやすいため人気です。
科学的なダイエットとは?
糖質制限も脂質制限も、カロリーコントロールの為の些細な「テクニック」に過ぎません。
ハーバード大学の研究(Sacks et al., 2009, NEJM)では糖質、脂質、タンパク質の比率が異なるダイエットでもカロリーを制限すれば同等の体重減少が得られると報告されています。
科学的ダイエットの鍵は持続可能な食事パターンと栄養バランスです。
極端な主張に頼る必要はありません。
結論
「糖質制限さえすればカロリーは関係ない」と主張する医師の背景には研究の部分的な解釈、代謝の複雑さの無視、SNSのエコーチェンバーがあります。
これらの主張は魅力的ですが科学的エビデンスに欠け、誤解を招きます。
ダイエットを成功させるには総カロリーと生活習慣を見直し、信頼できる情報に基づいた選択が大切です。
XやYouTubeの情報に惑わされず、エビデンスを重視しましょう。
何事もバランスが重要だと言う話です。
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