成長期の中学生が筋力トレーニングを行うメリット

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
~骨端線リスクとオスグット・シュラッター病の正しい知識~
近年、中学生の体力低下が深刻化する一方で、「筋トレをさせたいけど骨が心配……」という保護者・指導者の声が絶えません。
「成長期に筋トレをすると背が伸びなくなる」「骨端線が壊れる」といった情報も多く見られますが、2025年現在の医学・スポーツ科学のコンセンサスは大きく変わっており、適切に行えば中学生の筋力トレーニングは非常に安全であり、むしろ多くのメリットがあるとされています。
中学生が筋力トレーニングを行うメリット(最新研究より)
- 骨密度が10~20%向上し、将来の骨折リスクが低下 PubMed - Effects of Supervised Strength Training on Physical Fitness in Children and Adolescents: A Systematic Review and Meta-Analysis (2025)
- ケガの発生率が最大50%減少(特に捻挫・肉離れ)PubMed - Resistance Training in Youth: Laying the Foundation for Injury Prevention and Physical Literacy (更新2024-2025) Sports Medicine - Effects of Resistance Training on Physical Fitness in Healthy Children and Adolescents: An Umbrella Review (2020更新、2023引用)
- スポーツパフォーマンス向上(走る・跳ぶ・投げる力が明確にアップ) Sports Medicine - The Era of Resistance Training as a Primary Form of Physical Activity for Physical Fitness and Health in Youth Has Come (2025)
- 肥満予防・姿勢改善・自信の向上 Sports Medicine - Meeting muscle-strengthening recommendation is associated with lower adiposity, higher physical fitness and healthier lifestyle in adolescents (2024引用、2025レビュー) JAMA Pediatrics - Exercise and insulin resistance markers in children and adolescents with excess weight (2023)
- 正しい動作が身につくことで、高校以降の伸びが圧倒的に大きくなる PubMed - Effects of resistance training in children and adolescents: a meta-analysis (更新2023)
つまり、筋トレは「ケガの予防」と「将来の競技力の土台作り」に直結する投資なのです。
骨端線とは?
骨端線とは長管骨(腕や脚の長い骨)の両端にある「成長軟骨」の事で、ここで細胞分裂が起こることで骨が縦に伸び、身長が伸びます。
通常、男子は15~17歳、女子は13~15歳頃に閉じると言われています。
1. 成長期の骨端線は筋トレで本当に壊れるのか?(最新エビデンス)
結論:適切なトレーニングであれば、実質的に壊れることはありません。
主な根拠
- Faigenbaum et al. (2021, 2023):PubMed
- Granacher et al. (2022):PMC
- NSCA Position Statement(2020更新):NSCA公式
骨端線が「剥離骨折」するケースの97%以上は競技中の衝突・転倒・着地失敗によるもので、ウエイトトレーニングが原因となった報告は0.5%未満です。
2. オスグット・シュラッター病とは?(よく混同されます)
膝の下(脛骨粗面)に大腿四頭筋の腱が繰り返し強く引っ張られることで起こる障害です。
成長期スポーツ少年の10~15%が経験しますが、「骨端線がポキッと折れる」ものとは完全に別物です。
| 項目 | オスグット・シュラッター病 | 骨端線剥離骨折(真の剥離) |
|---|---|---|
| 正式名称 | Osgood-Schlatter Disease | Apophyseal avulsion fracture |
| 原因 | 大腿四頭筋の繰り返し牽引ストレス | 一回の極端な牽引力 |
| 頻度 | 成長期スポーツ少年の10~15%が経験 | 極めて稀 |
| 筋トレで悪化するか? | やり方次第で悪化する | 普通の筋トレではほぼ起こらない |
| 主な痛み部位 | 膝のお皿の下(脛骨粗面) | 骨が完全に剥がれる激痛 |
3. 中学生が安全に筋トレするためのガイドライン
- 最初は自重トレーニングから
- 自重に慣れたらマシン・軽いウェイトへ(15~20回が限界になる負荷)
- 動作はゆっくり、反動厳禁、フォーム崩れ=即終了
- レッグエクステンションは原則禁止
- レッグプレスは足をプレート上部に(膝90°以上曲げない)
- スクワット・ランジはむしろ推奨
- 痛みが出たら即休養+四頭筋ストレッチ
4. おすすめの中学生向けメニュー例
・腕立て伏せ 10~20回
・スクワット 20~30回
・フォワードランジ 片脚10~15回
・シットアップ/クランチ 20~30回 マシン移行後
・チェストプレス 15~20回
・レッグプレス 15~20回(足高め)
・ラットプルダウン 15回前後
・ショルダープレス 15~20回
5. 中学生のうちに「筋量を仕上げる」必要は本当にない
実は、中学生期の筋力アップの8~9割は「神経系の熟成」によるものです。
天然テストステロンが本格的に分泌される16~18歳以降に、筋量は自然に何倍にもなります。
そのため、中学時代は「正しいフォームの習得」「ケガをしにくい身体づくり」「トレーニングを楽しむ経験」を最優先にしてください。
無理に重い重量を追い求めると、かえってケガリスクが跳ね上がります。
まとめ:正しい知識で安心してトレーニングを
- 骨端線が筋トレで「ポキッと折れる」ことは現実的にはほぼ起こりません
- オスグットはやり方次第で予防可能です
- 中学生期は筋量ではなく「土台」を作る時期です
- 適切な筋トレは骨を強くし、ケガを減らし、将来のパフォーマンスを最大化します
中学生の体力づくりは「未来への投資」です。
焦らず、楽しく、丁寧に進めていきましょうねと言う話です。
(参考文献:Faigenbaum et al., J Strength Cond Res 2021-2023 / NSCA Youth Resistance Training Position Statement 2020更新版ほか)
※膝の前下方に痛みがある場合は、必ず整形外科を受診してください。
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