水滴石を穿つ

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

先日ネットニュースで「筋肉量を増やしても基礎代謝は上がらない」「筋トレはダイエットに不要」「そもそも日本人は筋肉が増えにくい」といった主張を見かけました。

医師による著書での発言だそうですが、正直この考え方は少し極端だと感じます。

筋力トレーニングを「不要」と切り捨てるのは「私一人が選挙に行っても世の中は変わらない」と言うのと同じくらい残念な発想です。

何事も「塵も積もれば山となる」「水滴石を穿つ」、小さな積み重ねが大きな変化を生むのになぜそれを否定してしまうのでしょうか?

このような「何かを上げて何かを下げる」ような発信は、少し安易に思えてしまいます。

まず科学的に見ると「筋肉量を増やしても基礎代謝が上がらない」というのは正確ではありません。

研究によると筋肉1kgの増加で基礎代謝は1日約13~15kcal上昇し(Elia, M., 1992. "Organ and tissue contribution to metabolic rate")、さらに日常の活動代謝量を含めると、1日あたり約50kcalの消費増につながるとされています(McArdle et al., 2015. "Exercise Physiology")。

これを1年間で計算すると脂肪2.5~3kg分のエネルギー消費(1kgの脂肪=約7,700kcal)に相当します。

数字だけ見ると地味かもしれませんが、ダイエットや健康維持では大きな意味を持ちます。

しかも筋肉を1kg増やすには大変な努力が必要です。

週3~4回のレジスタンストレーニングと体重1kgあたり1.2~2.0gのタンパク質摂取が推奨されており(Morton et al., 2018. "A systematic review on resistance training")、この過程自体が多くのカロリーを消費し、身体が変わる喜びや自信を与えてくれます。

そんな努力を「不要」「無駄」と切り捨てるのはなんだか心が痛みます。

また筋力トレーニングを「ダイエットに不要」とするのは視野が狭いように思います。

食事制限だけで痩せようとすると、脂肪と一緒に筋肉も減ってしまいます。

これはサルコペニア(筋肉量や筋力の低下)のリスクを高め、代謝が落ちたり、リバウンドしやすくなったりします(Cruz-Jentoft et al., 2019. "Sarcopenia: revised European consensus")。

サルコペニアは肥満と同じくらい健康に悪影響を及ぼす問題で、特に高齢化社会では転倒のリスクや生活の質の低下につながるので、軽視する事はできません(Tanimoto et al., 2014. "Exercise and sarcopenia in older adults")。

筋力トレーニングは脂肪燃焼だけでなく筋肉量の維持や向上、骨の強化、ホルモン分泌の補助、認知能力の向上、精神的な健康にも役立ちます(Westcott, 2012. "Resistance training is medicine")。

これらのメリットを無視して「不要」と言うのは科学的根拠を見落としているように感じます。

更に「日本人は筋肉が増えにくい」という主張も少し大げさかもしれません。

確かに遺伝的に筋肥大のしやすさには個人差や民族差があるものの(Häkkinen et al., 2000. "Genetic factors in muscle strength"), 適切なトレーニングと栄養で日本人も十分に筋肉を増やせます。

実際にボディビルやフィットネスで活躍する日本人も多く、努力次第で結果は出せます(Abe et al., 2018. "Skeletal muscle adaptations in Japanese athletes")。

その過程で得られる達成感や健康はとても貴重で、この事実を無視して「増えにくい」と決めつけるのは、挑戦しようとする人の意欲を下げるだけではないでしょうか?

結局、ダイエットや健康で大切なのはバランスです。

食事管理はとても重要ですが、筋力トレーニングを組み合わせることで筋肉を維持、向上し、代謝を高め、健康な身体を作れます(Phillips & Van Loon, 2011. "Dietary protein for athletes")。

小さな努力の積み重ねが大きな変化を生むのです。

「筋トレは無駄」といった声に惑わされず、自分のペースでコツコツ続けるべきでしょう。

今日の一歩が確かな道に繋がるのだと言う話です。

滋賀県大津市月輪1丁目3-8 アル・プラザ瀬田4F 女性専用フィットネスLBC

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