筋肥大の個人差が最大30倍!?個別性の原則について少し深堀り

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

今回の記事は前回の記事に続き「個別性の原則」について考察します。

筋肥大の個人差が最大30倍!! Hubalらの研究をわかりやすく深掘り解説

皆さんは筋力トレーニングを始めて「なぜ自分はなかなか筋肉がつかないのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?

同じメニューをこなしても、効果が人によって大きく違うという話はよく耳にします。

そんな中、科学的にその個人差を明らかにした有名な研究があります。

それが、Monica J. Hubal氏らが2005年に発表した論文「Variability in muscle size and strength gain after unilateral resistance training」です。

この研究では、筋肥大(筋肉のサイズ増加)の反応が最大で約30倍の差が出ることが示され、筋トレの「個別性」を象徴するものとして注目されています。

本記事ではこの研究を初心者の方にもわかりやすく、ステップバイステップで深掘りします。

筋肥大の個人差の原因や実践的な活用法まで解説しますので、筋トレに興味のある方はぜひ参考にしてください。

1. 研究の背景:なぜ筋トレの効果に個人差が出るのか?

筋力トレーニングの効果は、誰もが同じように得られると思われがちです。

しかし実際には人によって結果が大きく異なります、この研究の目的はそんな「個人差」を大規模に調べることでした。

過去の研究では参加者が少なく(10〜20人程度)、正確なデータが得られていませんでした。

そこでHubal氏らは、585人という大人数を対象に調査を実施、信頼性の高い結果を出したのです。

主なポイントは、片腕だけをトレーニングして筋肉のサイズや強度の変化を測定した点です。

反対の腕をコントロール(トレーニングなし)として比較する事で自然な変動を除外し、真の個人差を明らかにしました。

このアプローチにより、筋トレの効果が「遺伝や生活習慣によるもの」であることが浮き彫りになったのです。

2. 研究の方法:どんなトレーニングを行ったのか?

参加者、健康な成人585人(男性340人、女性245人、平均年齢33歳)で、筋トレ初心者から中級者までさまざまです。

遺伝子や生活習慣の違いを反映した多様なグループでした。

トレーニングの内容は以下の通りです:

  • 対象筋肉:肘を曲げる筋肉(主に上腕二頭筋)。
  • 期間:12週間。
  • 頻度:週3回。
  • エクササイズ:ダンベルカールなど、3セット×8〜12回(8〜12回で限界になる重さを使用)。
  • 進行方法:徐々に重さを増やす「プログレッシブオーバーロード」を採用。
  • 休憩:セット間に90秒。
  • 特徴:非利き手の腕だけをトレーニング。反対の腕は比較用にそのまま。

測定方法も精密です:

  • 筋サイズ:MRI(磁気共鳴画像)で筋肉の断面積(CSA)を計測。
  • 強度:1RM(1回最大の重さ)とMVC(最大の力)。
  • タイミング:トレーニング前後で比較。

このシンプルな設計が初心者でもイメージしやすく、大人数での個人差をクリアに捉える鍵となりました。

3. 研究の結果:筋肥大の差が最大59%増 vs. -2%減!

平均値だけを見ると、筋サイズは約19%増加し、強度も向上します。

しかし個人レベルで掘り下げると驚くほどのばらつきがあり、これが「筋肥大 個人差」のキーワードで検索される理由です。

  • 筋サイズ(CSA)の変化:
    • 平均:+18.9%。
    • 範囲:-2%(少し減る人)から+59%(大幅に増える人)。
    • 個人差の目安:最大で約30倍(59%増 vs. ほぼ0%増)。
  • 強度の変化:
    • 1RM:平均+107%、範囲0%〜+250%。
    • MVC:平均+28.8%、範囲-32%〜+149%。

以下に簡単な表でまとめます:

測定項目平均変化範囲(最小〜最大)個人差の目安(倍率)
筋サイズ (CSA)+18.9%-2% 〜 +59%約30倍
1RM強度+107%0% 〜 +250%非常に大きい
MVC強度+28.8%-32% 〜 +149%約5倍以上

性差として、男性の方が筋サイズの絶対値で優位ですが、相対的な強度では女性が上回る場合もあります。

全体として、個人差が性差を上回るほど大きいのが特徴です。

つまり、「超効果的な人」「ほとんど変わらない人」「逆効果の人」が混在しているのです。

4. 深掘り:個人差の原因は遺伝と環境のミックス

なぜ同じトレーニングでこれほど差が出るのでしょうか?

論文では明確に特定されていませんが、後年の研究から以下の要因が考えられます。

初心者の方は、これを念頭に置いて筋トレを調整してください。

  • 遺伝的要因(50〜70%の影響):
    • 筋繊維のタイプ(速く力を出す筋肉が多い人 vs. 持久力向きの人)。
    • 遺伝子変異(例:ACTN3遺伝子で速筋優位の人は筋肥大しやすい)。
    • 双子研究から、遺伝が主な原因とわかっています。
  • トレーニング前の状態:
    • 初心者は「初心者ボーナス」で大きく変化しやすい。
    • 初期の筋肉サイズが小さい人は、相対的に増えやすい。
  • 環境・生活要因:
    • 睡眠や栄養(タンパク質摂取)の質、ストレスレベル。
    • 年齢や性別(30代がピーク、女性はホルモンの影響で強度寄り)。
    • トレーニングの遵守度(きちんと通うかどうか)。

これらの要因が絡み合い、「非応答者」(効果が出にくい人)が生まれます。

後年の研究では、筋ダメージの蓄積不足やタンパク質合成の鈍さが原因と指摘されています。

5. 実践的な含意:筋トレの個別性を活かそう

この研究から学べるのは、「平均値に頼らず、自分の体を観察せよ」ということです。

ポジティブな点として、非応答者でもメニューを変えれば(例:セット数を増やす)効果が出る可能性があります。

実践Tips:

  • 初心者向け:標準メニューからスタート。平均18%増が期待できます。
  • 中級者向け:トレーニングログを付け、3〜6ヶ月で調整。遺伝子テスト(オプション)で傾向を把握。
  • 共通アドバイス:継続が大事。効果が出ない時は種目を変えたり、栄養を改善したりしましょう。SNSの「万能メニュー」は参考程度に。

まとめ:あなたの体が最高の先生なのです

筋肥大の個人差を理解すれば、モチベーションも上がるはずですよと言う話です。

滋賀県大津市月輪1丁目3-8 アル・プラザ瀬田4F 女性専用フィットネスLBC 

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参考文献:Hubal MJ, et al. Med Sci Sports Exerc. 2005;37(6):964-72. (PubMedリンク:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15947721/)