筋膜の連鎖「アナトミートレイン」とトリガーポイントは科学的に「存在する」

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
近年、ボディワークやフィットネス業界で注目を集めているアナトミートレイン(Anatomy Trains)は、Thomas Myers氏が提唱した筋膜の連続したライン(myofascial meridians)の概念です。
筋膜は単なる「包み」ではなく全身の力の伝達経路として機能しており、Wilkeら(2016)の系統的レビューをはじめとする解剖学的研究で、特にSuperficial Back Line(浅層後面線)、Back Functional Line、Front Functional Lineなどの連続性が強く裏付けられています(Wilke J et al., 2016 - What Is Evidence-Based About Myofascial Chains: A Systematic Review)。
これにより足裏の硬さが腰痛や背中の張りを引き起こす現象が、筋膜の機械的な連鎖で合理的に説明可能です。
女性の皆さんが日常的に感じる「足の疲れが背中や腰に響く」感覚も、この視点で理解しやすくなります。
またトリガーポイント(筋筋膜性疼痛の局所的な過敏点)についても、国際的なコンセンサスが存在します。
圧痛点、関連痛、taut band(硬結帯)の再現性が高く、神経支配や局所虚血・炎症がメカニズムとして生理学的に裏付けられています。
臨床現場では、これをターゲットにした施術が腰痛や肩こりの改善に有効であることが広く認められています。
一方、伝統的な「経絡」は科学的に「存在しない」
東洋医学でいう経絡(気血の通り道として臓器とつながる特殊な通路、いわゆるツボ)は、古代の経験則として非常に価値があります。
しかし現代の解剖学・生理学では、独立した解剖学的構造として確認された証拠はありません。
多くの系統的レビューや研究(Ramey 2000以降のまとめ、2020年代の鍼灸メタアナリシス)で、「経絡という専用の管や線は見つからない」と結論づけられています(Ramey DW, 2000 - A Review of the Evidence for the Existence of Acupuncture Points and Meridians)。
経絡沿いの刺激が効果を示すケースは確かにありますが、その理由は筋膜ネットワークとの重なり(Anatomy Trainsと経絡ルートの類似性が高い)、神経終末や血管の密集による一般的な刺激効果、間質液の流れや低抵抗経路、プラセボ効果や非特異的な触覚刺激などで説明可能です。
つまり伝統的な「気」が流れる目に見えないエネルギー通路として、独立して存在する証拠はないのです。
経絡の知見は、古代人が神経・筋膜・血管の豊富な部位を経験的に拾い上げた結果だと考えるのが合理的です。
アナトミートレインを活かした実際の施術例(女性の腰痛・肩こり対策)
アナトミートレインの施術では、痛みの局所ではなくライン全体をアプローチするのが特徴です。
代表的な例として、Superficial Back Line(SBL:足底から頭頂までの背面ライン)を挙げます。
このラインが硬くなる事で足裏の緊張がハムストリングス→仙結節靭帯→脊柱起立筋→後頭部へと伝わり、慢性的な腰痛や猫背・首こりを引き起こします。
- 足底リリース:テニスボールやフォームローラーで足裏をゆっくり転がす(1-2分)。これだけで腰や背中の張りが軽減するケースが多く、筋膜の連続性を実感しやすいです。
- ハムストリングス+脊柱起立筋のリリース:座位前屈でハムストリングスをフォームローラーでほぐし、背中を丸めて伸ばす。施術者による場合は、うつ伏せで仙骨から背中にかけてゆっくり圧を入れながら滑らせる(myofascial release)。
- 臨床例:40代女性の慢性腰痛の場合、足裏とハムストリングスの優先リリースで、腰部直接介入なしに痛みが50-70%軽減する事例が報告されています。
同様にSuperficial Front Line(SFL:前面ライン)では前脛骨筋・大腿直筋・腹直筋のリリースで猫背や巻き肩を改善し、**Lateral Line(側面ライン)**では腸脛靭帯・中殿筋のリリースで骨盤の左右差を整えます。
これらを組み合わせる事で局所治療だけでは改善しにくかった症状が劇的に変わりやすいのです。
筋膜リリースの主な利点(エビデンスに基づく)
アナトミートレインの施術と密接に関わる筋膜リリース(Myofascial Release: MFR)の利点として、以下の点が複数の系統的レビュー・メタアナリシスで確認されています。
- 痛みの軽減:慢性腰痛・頸部痛・線維筋痛症で疼痛スコアが有意に低下(moderate evidence)(Ajimsha MS et al., 2015 - Effectiveness of myofascial release: systematic review of randomized controlled trials;Ughreja RA et al., 2021 - Effectiveness of myofascial release on pain, sleep, and quality of life in patients with fibromyalgia syndrome: A systematic review)。特に慢性痛の管理に有効で、従来のマッサージで改善しにくかった症状に役立ちます。
- 関節可動域(ROM)の向上:即時的・短期的にROMが増加(moderate effect size)(Antohe BA et al., 2024 - Effects of Myofascial Release Techniques on Joint Range of Motion of Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials)。アスリートや日常動作の柔軟性向上に期待できます。
- 姿勢改善と全身バランス:ライン全体のリリースで猫背・巻き肩・骨盤歪みが軽減。血流・リンパ促進によるむくみ軽減効果も報告されています。
- 回復促進:遅発性筋肉痛(DOMS)の軽減やリラクゼーション効果(自律神経調整)で、ストレス軽減・睡眠改善につながります(Lv Y et al., 2024 - A Review of the Application of Myofascial Release Therapy in the Treatment of Diseases)。
エビデンスの質は「low〜moderate」が主流ですが、即時効果が強く、安全性が高い為に継続的なセルフケアや運動療法との組み合わせがおすすめです。
女性専用フィットネスとして大切にしたいアプローチ
LBCではエビデンスに基づいた施術と説明を重視しています。
足裏ほぐしで腰が楽になるのは「ツボだから」ではなく、筋膜の連鎖(アナトミートレイン)によるもの。
トリガーポイントを的確にリリースすれば、痛みの関連が軽減されます。
これらを科学的に理解し、クライアントの皆さんに正しくお伝えする事で無理のないボディケアを実現しています。
伝統的な知見を尊重しつつ、妄信せず現代科学でアップデートする――これが我々が目指すべき健全なフィットネスなのでしょう。
体を科学的に、そして優しく整えていきましょうと言う話です。
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