美しい姿勢は美しい背中から

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
背中のトレーニングを行う際、「フィニッシュで肩甲骨を寄せる必要はない」という意見をSNSなどで目にすることがあります。
この主張は解剖学的には一理ありますが、実際のトレーニングでは肩甲骨の動きが効果を大きく左右します。
今回は広背筋の作用と肩甲骨のコントロールの重要性を、科学的なエビデンスとともに解説しますので、ラットプルダウンやチンニングで最大限の効果を引き出したい方は是非参考にしてください。
広背筋の解剖学:肩甲骨の動きは不要?
広背筋(latissimus dorsi)は背中の大きな筋肉で、主に上腕骨の内転・伸展・内旋を担当します。
その起始部は胸椎、腰椎、骨盤、肋骨に広がり、停止部は上腕骨に付着します。
解剖学的には広背筋の収縮は主に上腕骨を動かし、肩甲骨の内転(寄せる動き)には直接関与しませんので、この役割は僧帽筋や菱形筋が主に担うため、「肩甲骨を寄せる必要はない」という主張も理解できます。
しかし実際のトレーニングでは肩甲骨の動きを意識する事で広背筋の収縮が強化され、動作の効率が大きく向上します。
科学的な研究(例:Andersen et al., 2014)でも肩甲骨を固定せず動かすことで広背筋の筋電図(EMG)活動が増加することが示されています。
ではなぜ肩甲骨のコントロールが重要なのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
肩甲骨を寄せるメリット:広背筋の効果を最大化
ラットプルダウン、チンニング、シーテッドローイングなどの背中のコンパウンド種目では、肩甲骨を意識的に動かす事で広背筋の筋活動を高め、トレーニングの効果を最大化できます。
以下はその主なメリットです。
1. 肩甲骨の内転で広背筋の収縮を強化
肩甲骨を脊柱に近づける(内転)事で広背筋の起始部(胸椎、腰椎、骨盤、肋骨)から停止部(上腕骨)への収縮が強化され、これは筋の長さ-張力関係に基づいています。
肩甲骨が外転・上方回旋した状態から内転する事で広背筋が適切に伸張され、収縮時の力発揮が最大化します。
研究でも肩甲骨を動かすフォームが広背筋のEMG活動を高めることが確認されています(Andersen et al., 2014)。
2. 胸郭を開くことで起始部の安定性を確保
胸を張る(胸椎の伸展)事で広背筋の起始部が安定し、筋線維の伸張が促されます。
これにより広背筋の収縮効率が向上し、より強い力を発揮できます。
胸郭を開くフォームは広背筋の動員を高めるだけでなく、動作全体の安定性にも貢献します。
3. 動作の特異性で広背筋に負荷を集中
チンニングやラットプルダウンは広背筋主導のトレーニングなので、肩甲骨の動きを意識する事で上腕二頭筋などの代償動作を抑え、広背筋に負荷を集中できます。
これによりターゲット筋を効果的に鍛えられ、筋肥大や筋力向上が期待できます。
4. 神経筋の活性化で筋活動を向上
肩甲骨を意識的に動かす事で広背筋の運動単位の動員が増加します。
これは神経筋の活性化を高め、筋肉の収縮力を向上させる効果があります。
結果としてより高重量を扱え、トレーニングの成果を最大化できます。
5. 消費カロリーと全身の連動
肩甲骨を動かす事で広背筋だけでなく僧帽筋や菱形筋も同時に刺激され、全体の筋活動量が増加します。
これにより消費カロリーが高まり、背中全体のバランスの取れた発達が促されます。
また骨盤から脊柱、肩甲骨へと動きを連動させる事で全身の筋肉を協調させ、高重量を安全に扱えます。
6. トレーニングの楽しさ
肩甲骨を意識する事で「効いてる!」という感覚が得られやすく、トレーニングの満足感がアップします。
高重量を扱う楽しさや、大きくダイナミックに広背筋の収縮を感じる喜びはモチベーション維持にも欠かせません。
初心者と上級者の違い:肩甲骨のコントロールが鍵
広背筋のトレーニングにおいて肩甲骨を寄せない選択は、肩甲骨の動きを熟知し、広背筋を効果的に収縮させる技術を持った上級者には有効な戦略かもしれません。
しかし初心者がこの主張を取り入れるのは時期尚早だと言えます。
それは初心者の多くは肩甲骨のコントロールや筋感覚が未熟で、適切なフォームを維持するのが難しいからです。
初心者が肩甲骨を意識せずトレーニングを行うと広背筋への刺激が不十分になり、効果が半減する可能性があります。
まずは以下のステップで肩甲骨の動きを練習しましょう:
- 肩を落とし、肩甲骨を軽く下方回旋させる。
- バーを引く際に、肩甲骨を寄せる(内転)意識を持つ。
- 胸を張り(胸郭を開く)、広背筋の収縮を最大化する。
これを繰り返す事で広背筋を効果的に鍛え、フォームの基礎を築けます。
たとえばラットプルダウンでは肩甲骨の内転と胸郭の開きを意識する事で広背筋の動員が向上し、トレーニング効果が高まります。
注意点:肩甲骨を寄せすぎるデメリット
肩甲骨を意識する事は重要ですが、過度に寄せすぎると逆効果になる場合があります。
たとえばラットプルダウンの初動で肩甲骨を極端に寄せると腕の可動域が制限され、広背筋のフルレンジな収縮が得られない事もあり得ますので、個々の体型や種目に応じた調整が大切です。
結論:肩甲骨のコントロールで背中のトレーニングを極めよう
背中のトレーニングで肩甲骨を寄せるか寄せないかは、解剖学的知識とトレーニングの目的やキャリアに応じて選択肢が変わります。
科学的なエビデンス(例:Andersen et al., 2014)に基づくと肩甲骨の内転と胸郭の開きは広背筋の筋活動を高め、効率的なトレーニングを可能にします。
初心者には肩甲骨の動きを意識することでフォームを安定させ、広背筋を効果的に鍛える基盤を作ることをおすすめします。
上級者は目的に応じて肩甲骨の動きを調整し、さらなる効果を追求できます。
肩甲骨を寄せて胸郭を開くフォームは広背筋の動員を高めるだけでなく、動作の安定性や消費カロリーの向上、トレーニングの楽しさに貢献します。
背中のトレーニングを効果的かつ楽しく行いたいなら、肩甲骨のコントロールを意識して行いましょうと言う話です。
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