筋肥大を目指す筋トレで初心者が陥りがちな間違い

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。

人間の筋肉には骨格筋、平滑筋、心筋の3種類があります。

このうち私たちが自分の意志で随意的に動かせるのは骨格筋だけです。

骨格筋の筋繊維は主に遅筋(タイプI)、中間筋(タイプⅡa:速筋酸化型)、速筋解糖型(タイプⅡx:ヒトではⅡbに相当)に分類されます。

遅筋は持久力に優れ、速筋は瞬発力が高く筋肥大のポテンシャルが大きい一方で疲労しやすい特徴があります。

特にタイプⅡaは、速い収縮速度と高い力発揮を保ちつつ酸化能力も備えたハイブリッド的な繊維です。

心肺機能の向上や脂肪燃焼を目的とする場合、遅筋を主に刺激する長時間の低強度有酸素運動が有効です。

しかし筋肥大や筋力向上を目指すなら、速筋繊維(特にタイプⅡ)をターゲットにした短時間の高強度筋力トレーニングが推奨されます。

科学的研究でも速筋繊維は筋肥大の主な担い手であり、重い負荷による機械的張力(mechanical tension)がその成長を促進することが示されています(Schoenfeld, 2010)。

ここで多くの人が疑問を抱く点があります。

筋肥大を目的とした筋力トレーニングで、「筋肉にしっかり効かせる」「フォームを丁寧に確認する」ために、低重量をゆっくり動かすトレーニングを選ぶ人が少なくありません。

特に初心者層でこの傾向が見られますが、これは実は効率が低い場合が多いのです。

もちろん怪我のリハビリテーションや、長年の経験を積んだ上級者(ベテラントレーニー)が関節保護や停滞打破のために低重量スローを取り入れるのは合理的です。

しかし初心者が極端に軽い重量でトレーニングを続けると、対象筋以外の部位で動作を代償しやすく、正しい刺激が届きにくくなります。

なぜ初心者は「自分にとっての高重量」を扱うべきか?

筋肉の募集順序は「Hennemanのサイズ原理」によって説明されます。

これは低負荷ではまず遅筋が優先的に募集され、高負荷になるにつれて速筋(タイプⅡ)が追加される仕組みです。

軽すぎる重量では速筋が十分に活性化されず、筋肥大の主なドライバーである速筋の成長が遅れてしまいます。

また、「マインド・マッスル・コネクション」(脳と筋肉の接続、対象筋を随意にコントロールする技術)は上級者向けの高度なスキルです。

研究では初心者が低重量でこれを追い求めると、かえってフォームの習得が遅れ、対象筋への刺激が散漫になるケースが多いと指摘されています。

一方で正しいフォームを保てる範囲で高重量(例: 8〜12回で限界が来る負荷)を扱うと、速筋が早く募集され、効率的な筋肥大が進みやすいのです。

さらに継続的な高強度トレーニングを行うアスリートでは、持久系・瞬発系を問わず、タイプⅡx繊維がタイプⅡa繊維へ移行し、タイプⅡaが優位になる適応が観察されます。

これは速筋の力強さを維持しつつ酸化能力(疲労耐性)を向上させる有益な変化です(Wilson et al., 2012; Plotkin et al., 2021)。

高強度トレーニングがこのような筋繊維の質的向上を促す点も、筋肥大狙いのトレーニングで高負荷を優先する理由の一つです。

メタアナリシスでも筋肥大に関しては低負荷高回数と高負荷低回数が同等の効果を示す場合がありますが、これはセットを限界近くまで追い込んだ場合に限られます。

低重量スローでは総ボリュームを稼ぎにくく、初心者には実践しにくいのが現実です。

初心者におすすめの実践的なトレーニングTips

  • フォーム優先で重量を選ぶ:正しいフォームが崩れない最大重量から始め、徐々にプログレッシブオーバーロード(漸進的過負荷)を適用しましょう。これが筋力・筋肥大の王道です。
  • 素振り練習の罠を避ける:ゼロに近い軽重量でのフォーム練習は、対象筋がほとんど働かず、代償動作が固定化しやすいです。適度な負荷で「失敗経験」を積む方が、弱点が明確になり上達が早まります。
  • 理論と感覚のバランス:まず生理学的な理屈を理解した上で、実際に動いて「感じる」ことが重要です。正しいフォームこそ、怪我を防ぎつつ最大重量を扱える基盤となります。

丁寧にトレーニングを行う姿勢自体は素晴らしいことです。

しかし速筋は本質的に「速く強く動かす」ための筋繊維です。

初心者こそ扱える重量と回数にこだわり、速筋を積極的に刺激するアプローチをおすすめします。

上級者になると低重量を活用したバリエーションや、タイプⅡa優位の適応を活かしたトレーニングでさらに成長が加速します。

筋トレは「やればできる、やらなければできない」シンプルなものです。

まずは正しい負荷で挑戦し、自分の限界を感じることから始めましょう、それが大きな一歩となります。

理論に裏付けられた、安全で効果的なトレーニングを継続し、理想の体を手に入れてくださいねと言う話です。

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