筋力トレーニングの「ジャンクセット」とは?

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
近年、筋力トレーニングの世界でよく議論される「ジャンクセット」(またはジャンクボリューム)とは、筋肥大や筋力向上にほとんど寄与せず、疲労だけを蓄積させる余分なセットを指します。
具体的にはすでに十分な刺激を与えた後の追加セット、限界から遠い軽いセット、フォームが崩れたセットなどが該当します。
一方ですべての追加セットが無駄とは限らず、個人差や目的によって有効になるケースもあります。
この記事では「ジャンクセット」を一刀両断せず、ケガをしなければ、みんな違ってみんな良いという視点で考察します。
トレーニングは個人差が大きく、遺伝、回復力、経験年数、生活環境によって最適なボリュームが変わります。
最先端の研究が示す「最適解」も、個別性の原則(Principle of Individuality)から見て、万人に当てはまる絶対的なものではありません。
エビデンスを基にしつつ、プロアスリートの事例から無駄に見える高ボリュームが結果につながる理由を探ります。
ジャンクセットの背景とエビデンス
筋肥大の最適ボリュームについては、多くのメタアナリシスが存在します。
Schoenfeldら(2017)の系統的レビューでは、週あたり10セット以上で筋肥大が増加する用量反応関係が確認され、12〜20セットが一般的な目安とされています。
一方でセッションあたりでは6〜12セットを超えると効果が頭打ちになりやすいと指摘されています。
またBaz-Valleら(2022)のレビューでは、12〜20週セットが最適で、高ボリューム(20セット超)が一部の筋群で優位な傾向を示すものの、全体的に大きな差はないとされています。
さらに最新のPellandら(2025)のメタアナリシスでは、ボリューム増加による筋肥大と筋力向上の用量反応が確認されつつ、収穫逓減が強く現れることが明らかになっています。
しかし疲労を無視して惰性でセットを積むのは、知識不足による典型的なジャンクです。
オーバーワークのリスクが高まり、パフォーマンス低下やケガを招きます。
正しい知識があればオーバーワークは避けられますが、ジャンクセットというラベルは必ずしも絶対的ではありません。
最先端の情報(2024〜2025年の研究でも週20〜30セット以上でさらなる筋肥大が示唆されるケースもあります)が常に最適解とは限らず、まさに個別性の原則がここに当てはまります。
プロの事例:アルバート・プホルスの「狂気的」腕トレーニング
MLBのレジェンド、アルバート・プホルス選手のオフシーズントレーニングは、まさに高ボリュームの代表例です。
Muscle & Fitness誌の2007年特集では、1セッションで36セット以上、腕や前腕に特化したアイソレーション種目をピラミッド式でこなすルーチンが紹介されています。
リバースカールやリストカールなど、前腕を徹底的に追い込む内容です。
一見「ジャンク」と思われがちですが、プホルス選手はピリオダイゼーション(期間化)を活用し、回復管理(栄養・睡眠・アイスバス)を完璧にこなしていました。
結果、怪物的なパワーと耐久性を築き、キャリアを長く維持。
野球のようなスキルスポーツでは神経筋協調の反復が重要で、高ボリュームが投資として機能した好例です。
ボディビル界の例:ジュラシック木澤選手の高頻度・高回数アプローチ
日本のボディビル界で「ジュラシック」の異名を持つ木澤大祐選手も、興味深い事例です。
インタビューではベンチプレスが遺伝的に苦手だったため、重重量にこだわらず比較的軽めの高回数・高頻度でボリュームを稼ぎ、結果としてまさに「ジュラシック」な胸板を構築したと語っています。
ナチュラルで日本選手権上位常連の木澤選手は、回復をモニタリングしながら意図的に高ボリュームを投入、最大重量ではなく筋量・密度を優先した戦略が功を奏しました。
一般的な最適ボリュームを超えても、弱点克服と土台作りに繋がったのです。
結論:ケガをしなければ、みんな違ってみんな良い
ジャンクセットの概念は、初心者〜中級者向けの有用な目安です。
しかし上級者やプロでは、**MRV(Maximum Recoverable Volume:最大回復可能ボリューム)**が一般より高く、一見無駄なボリュームが長期的な成果を生むことがあります(Renaissance Periodizationの解説より)。
大切なのは量より質と個別最適化、プログレッシブオーバーロードを意識し、疲労をモニターし、ピリオダイゼーションを導入しましょう。
最先端のエビデンスはあくまで「目安」であり、自分の身体のフィードバックを最優先に調整することが重要です。
自分の回復力を把握し、ケガを避けられればあなたのトレーニングは「正解」です。
みんな違ってみんな良いのです。
トレーニングを楽しんで、理想のボディを目指してくださいねと言う話です。
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