ローイング種目で可動域が狭いのは非効率? 「フルROM」の重要性

滋賀県大津市瀬田のトレーニングジム 女性専用フィットネスLBCです。
SNS等をパトロールしていますと、特にローイング系の種目(シーテッドロー、ラットプルダウン、ベントオーバーローなど)等で可動域が極端に狭いトレーニングをされている方を多く見かけます。
「対象筋からテンションを抜きたくない」という気持ちはとてもよく分かりますが、その意識が行き過ぎてしまうとかえって本末転倒になってしまうケースが少なくありません。
筋力トレーニングの本質は、関節の運動に伴って筋肉が十分にストレッチ(伸展)され、その後で力強く収縮を繰り返すことです。
適切な負荷のもとでこの伸展・収縮のサイクルを広い範囲で行う事で筋繊維への機械的張力やダメージが大きくなり、結果として効率的な筋肥大や筋力向上につながります(あくまでテンションが抜けない範囲で)。
「効く」「効いた」という感覚は大切ですが、それはトレーニングの結果であって目的ではありません。
特に初心者の方ほど、基本に忠実な大きな可動域(フルROM)を優先すべきだと考えています。
エビデンスから見る「フルROM」の優位性
近年発表された複数のメタアナリシスでは、フルレンジ・オブ・モーション(フルROM)が筋肥大・筋力・パワーなどのほとんどのアウトカムで、部分的な可動域(パーシャルROM)よりもわずかながら優位であることが示されています。
効果量は小さいながらも一貫してフルROM側に有利という結果です。
特に代表的なものとして、Wolf et al. (2023) の系統的レビューおよびメタアナリシスでは、フルROMが筋力、スピード、パワー、筋サイズ、体組成などのほとんどのアウトカムで優位であると結論づけられています(Partial Vs Full Range of Motion Resistance Training: A Systematic Review and Meta-Analysis)。
主なモデルではフルROMに有利なtrivialなSMD(0.12; 95% CI: –0.02, 0.26)が示され、各アウトカム別でもフルROMがわずかに優位でした。
特にローイング系のようなプル系種目では
・ストレッチポジション(ボトム)で広背筋をしっかり伸ばす
・最大収縮ポジション(トップ)で肩甲骨をしっかりと寄せる(胸を張る) この2つが揃うことで、広背筋や菱形筋群への刺激が最大化されます。
逆に「背中を丸めずに浅く引く」「トップで肩甲骨を寄せきらない」といった極端に狭い可動域は
- ストレッチ下の機械的張力が不足する
- 最大収縮が不十分になる
- 上部僧帽筋や上腕二頭筋への代償が増える
といった理由で対象筋への負荷が非効率になりやすいのです。
最大収縮位では「背中を丸めない」のが正解
ローイング種目のトップポジションで背中を丸めてしまうと、肩甲骨の内転(retraction)が制限され、広背筋の完全な短縮が得られにくくなります。
結果として「背中が締まっている感覚」が薄れ、刺激が分散してしまいます。
正しい最大収縮のポイントは、
- 胸を軽く張る(脊柱をニュートラル〜軽い伸展)
- 肩甲骨を背骨に向かってしっかり寄せる
- 1〜2秒キープして「スクイーズ」を味わう
これで広背筋下部から中部、菱形筋群まで効率的に刺激できます。
ボトムでは背中を丸めてストレッチを深くするのも有効ですが、引く過程で徐々に胸を張っていくのが理想です。
中上級者向けのアップデート:長筋長パーシャルも有効
初心者の方はまずはフルROMを徹底してください。
一方でフォームが安定してきた中上級者の方には、長筋長パーシャル(lengthened partials)というテクニックが最近注目されています。
これはストレッチポジション(筋肉が長くなった状態)から中間くらいまでの下半分〜下2/3だけを繰り返す方法です。
Wolf et al. (2023) のサブグループ解析では、長筋長でのパーシャルROMがフルROMと比べて筋肥大で潜在的に優位である可能性が示唆されており(SMD = –0.28; 95% CI: –0.81, 0.16)、最近の個別研究でもフルROMと同等または類似の筋適応が報告されています。
実践例(シーテッドロー):
- 腕を完全に伸ばして広背筋を最大ストレッチ
- 引くのは肘が体側に来る前くらいまで
- トップでは肩甲骨を寄せきらず、常にテンションを保持
フルセットの最後に3〜5回追加するだけで、翌日の背中の張りが明らかに変わります。女性専用フィットネスでこそ伝えたいこと当施設LBCでも、女性会員様の多くが「効いてる感」を優先して可動域を狭くしてしまいがちです。でも、筋力トレーニングの目的は「感覚」ではなく「結果としての筋力向上とボディメイク」です。初心者の方こそ、
- まずはフルROMを鏡やトレーナーと確認しながら身につける
- 慣れてきたら長筋長パーシャルを上手に取り入れる
この順番が最も効率的です。
可動域を広げる事でケガの予防にもつながり、長期的に美しい背中や姿勢を手に入れやすくなります。
まとめ
「テンションを抜きたくない」という気持ちは素晴らしい情熱です。
しかしそれを活かすためには、まずは基本の大きな可動域をマスターすることが近道です。
ローイング種目で「効かない」「背中が発達しにくい」と感じている方は、ぜひ一度フルROMと胸を張った最大収縮を意識してみてください。
正しい可動域で、もっと効率的に、もっと美しく。
あなたのトレーニングが、今日から少しでも良くなることを願っていますと言う話です。
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(参考:Wolf, M., et al. (2023). Partial Vs Full Range of Motion Resistance Training: A Systematic Review and Meta-Analysis. International Journal of Strength and Conditioning, 3(1). https://doi.org/10.47206/ijsc.v3i1.182 ほか最新研究に基づく)

